■2000年度[第9期]
2000年9月4日/白峰 遊月山荘
熊の時間
瀬田信哉
瀬田信哉/1938年生まれ。阿寒・南アルプス・中部山岳国立公園(立山・上高地)レンジャーなどを歴任し、環境庁審議官として国の環境行政の舵取りを行う。
日本型ナショナルトラストの草分け北海道斜里町。「熊との共存」に取り組むこの町から学ぶことは多い。近年、熊による被害を誘引するものとして人間が出す生ゴミの問題がある。生ゴミが「餌付け」の役割を果たし、以前は人間を恐れていた熊を、人間を恐れない危険な熊に変貌させるのである。
野生との共生を考えるとき、人間は「自分の都合」を押しつけてはいけない。ゴミの処理一つにしても熊の例のように「野生をゆがめる」原因となる。「野生とその領域」を知り、対応していくことが大切であり、そのルールがいま必要になっている。