公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成14年度[第11期]
平成14年4月12日/白峰 遊月山荘
映画と人生

『蝶の舌』

高橋治
高橋 治/(財)白山麓僻村塾特別顧問。小説家。元松竹映画監督。1929年生まれ。84年『秘伝』で直木賞を受賞。88年任意団体「白山麓僻村学校」を立ち上げる(僻村塾の前身)。96年『星の衣』で吉川英治文学賞。ほか作品多数。
 ある内閣に80%を超える支持率が出た。これは健康だとはいえない。皆が同じ事を考え出すと、危険だ。そういう世論をバックに、世の中を滅茶苦茶にしてしまった例を何度も見てきた。かつての日本、ベトナムがそうだ。この映画は、スペイン戦争を背景に、自分の心とは無関係に、非常に危険な行動に走ってしまう人間の姿を克明に描いている。一方「人間を育てる」ということに対して、「我々は大事なことを無くしてしまったのではないか」と気づかせてくれる作品でもある。ラストシーンで、主人公の少年は何を考えたのか、その部分に全く説明はない。だが私たちは、少年の顔を見ることで、彼の思いを受け止めることができる。そして「人々はいつかは間違いに気がつく」という作者のメッセージを知るのだ。