公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成14年度[第11期]
平成14年7月27日/白峰 遊月山荘

俳句で何が詠えるか

鷹羽狩行
鷹羽狩行/1930年、山形県に生まれる。俳人。「狩」主宰。(社)俳人協会会長。山口誓子、秋元不死男に師事し、65年句集『誕生』で俳人協会賞受賞。74年『平遠』で芸術選奨文部大臣新人賞。99年文化関係者文部大臣表彰、2002年毎日芸術賞受賞。
「俳諧の益は俗語を正す也」。300年前の芭蕉の言葉が、日本語が乱れつつあるいま、意味内容を変えて迫ってくる。美しい日本語を使い、それを後世に残していく役割が俳句にはある。また残しておきたい美しい日本語の典型が季語だ。そこには日本人の美意識のエッセンスが込められているからだ。 9.11テロ以降、俳句は事件を詠えないのか、という議論があった。だが俳句は事件そのものより、むしろ事件のもとにある人間の根本感情を表現するものだ。「あめつちの地のあるかぎり鍬始」という私の作品に、アフガニスタンの復興の姿を重ねた人がいた。農作業の素朴な営みを詠んだ句が、戦災から逞しく立ち上がろうとする人々の姿へと拡大解釈されたのだ。俳句は人間の根本感情を通して、深い内容を表現することができる。だからこそ俳句は面白いのだ。