公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成14年度[第11期]
平成14年8月24日/白峰 望岳苑

最近読んだ本

辻原登・湯川豊
辻原 登/1945年、和歌山県に生まれる。小説家。東海大学文学部教授。90年『村の名前』で芥川賞。2000年『遊動亭円木』で谷崎賞。ほか作品多数。

湯川 豊/1938年、新潟県に生まれる。東海大学文学部教授。64年文藝春秋に入社し、「文学界」編集長、常務取締役を経て2003年退社。読売新聞書評担当。
アレキサンドル・デュマの「鉄仮面」。19世紀半ばに書かれたこの作品で、まず驚くのは、全編ほとんどが「会話」で構成されていることだ。それが「戯曲の会話」ではなく、あきらかに「小説の会話」であるところがデュマの新しさだ。物語は「実在の人物」や「歴史・伝説」を取り込み、それらのイメージをそのまま生かしながら展開する。だから本当の歴史とデュマが作り上げた物語が絡み合って、どこが本当でどこが嘘かわからない。あたかもこの物語こそが、フランスの歴史なんだと思わせる力を持っている。藤沢周平の「蝉しぐれ」を読むと、「背筋をしゃんと伸ばしていた」日本人に出会える。いい時代小説を読んで、我々の祖先の姿を少し知って、我々がどういう人間だったのか、今どういうことになっているのか考えてみるのもいいだろう。