公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成16年度[第13期]
平成16年4月25日/白峰 望岳苑

白峰村の繊機と
東アジアの機織文化

吉本忍
吉本 忍/国立民族学博物館民族文化研究部教授。全世界にわたる機織り技術の通文化的研究ならびにインドネシアをはじめとする更紗や絣の染色文化研究を行う。主な著作に『ジャワ更紗』『インドネシア染色体系』など。
 人類の歴史のなかで「織」は重要な位置を占めている。身近な生活に欠かせない技術であるばかりでなく、産業革命の成立要因となり、その製法である「開く・閉じる」という「二進法」の流れは、コンピュータの出現に深く結びついた。また人間が作り出してきた道具の中でも、織機は特に構造が複雑である。糸を張る、前後あるいは上下に分ける、通す、打ち込む、などいろいろな機能を持つが、新石器時代から現代までの長い歴史を持ち、かつ世界中で使われている高度な道具というものは織機をおいてほかに見ることができない。織物の最大の特徴は糸に「張力」がないと織れないことにある。張力の出し方にはさまざまな方法があり、それによって織機が進化してきた。今回、もっともシンプルである人間の身体を使ったものから錘機まで10種類を紹介したい。ところで白峰村に残されている織機は、大変特殊で貴重なものだ。それは幕末以降、日本において織機が進化する過渡期において生まれたものか、それとも歴史をさらに古くまで遡るものなのかは現段階では判断がつかない。だが織機に関する世界文化遺産の一つと言ってよいものである。これをどう継承していくか考えていくべきだろう。