公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2005年度[第14期]
2005年7月3日/白峰 望岳苑

フィールドノートの
作り方

塩野米松
塩野米松/作家。昭和22年、秋田県角館生まれ。作家として活躍する一方、失われゆく伝統文化・技術についての聞き書きを精力的に行う。西岡常一棟梁の聞き書き『木のいのち木のこころ』は大きな反響を呼んだ。主な著書に『父さんの小さかったとき』『手業に学べ』他多数。
 自然の中で見たこと、感じたことを書くのがフィールドノートだ。書くことで見えてくることがあるし、書くことでよく理解できるようになる。それは書くときにいろいろな角度から物事を見るためだろう。音楽家やスポーツ選手も一流選手になるほどノートをつけているものだ。 あとで振り返るとき、記憶の再現力が高いのもフィールドノートだ。自分の手で書いているからそれは写真よりも優れている。僕のノートを紹介すると、アフリカを旅したときのものには、宿舎の見取り図や砂漠の不思議な植物、コガネムシ、ブッシュマンの食物などが書かれている。拾った鳥の羽も挟んである。こうやって読んでいくと、当時のことを本当に鮮明に思い出せる。
  書くときのポイントは、「その日のうちに書く」ということだ。見たり、触ったり、裏返したり、匂いを嗅いだり、「五感を使って書く」ことで記憶力がさらに高まる。
  フィールドノートは、ポケットサイズで表紙が硬いレベルノートがおすすめだ。手軽で雨にも強いし、書きやすい。僕は、かばんの中に、双眼鏡や虫めがね、メジャーなどをいれて持ち歩いている。フィールドノートをつければ、自然がもっと近くなってくる。ぜひ自然と友達になってほしい。