公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成21年度[第18期]
平成21年4月29日/白峰 望岳苑
ドラマ

『神埼省吾事件簿』から

高橋治
高橋 治/(財)白山麓僻村塾特別顧問。小説家。元松竹映画監督。1929年生まれ。84年『秘伝』で直木賞を受賞。88年任意団体「白山麓僻村学校」を立ち上げる(僻村塾の前身)。96年『星の衣』で吉川英治文学賞。ほか作品多数。
僻村塾が始まって、いつのまにか20年が過ぎた。どこまで続けられるかわからないが、出来るだけ頑張ってやっていきたい。今日集まってくれた皆さんも一緒に、相棒になってくれるとありがたい。最近、自分の小説を朗読という形で紹介してくれる方が増えた。これは、芝居や映画になるのとは違う嬉しさがある。例えば、NHKアナウンサーの青木裕子さんがラジオ番組で私の「町の地図」を朗読してくれることになった。これは私が生まれ育った千葉の町を私なりに書き込んだものだ。自分が育った町を書くことはあまりない。機会があれば聞いてほしい。今日見るドラマ「神崎省吾事件簿」は私の短編小説「椿の入墨」を映像化したものだ。だが、原作には椿の入墨は出てこない。実は、ヒロインの女性を最初に良く書きすぎて、入墨を出せなくなったのだ。そういうことが小説ではよくある。この作品のなかで私が非常に気に入っている箇所がある。主人公と親友の刑事が、最後にヒロインについて回想するシーンだ。そういうところをしっかり押さえて映像化してくれると嬉しいが、なかなかそうはならない。作者の意図を汲むというのは難しいものだ。ともあれ、映像を楽しんでほしい。