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アートの旅12・真野 響子
アートの旅12・真野 響子
平成22年4月25日/午後7:30〜・白峰 望岳苑
アートの旅12・真野 響子
真野響子/女優。1952年生まれ。ドラマ、映画、雑誌等様々な分野で活躍中。2002ワールドカップ日本組織委員会理事。金沢大学非常勤講師。


著名な免疫学者であり、能作者でもある多田富雄さんの新作能に出演した。白洲正子さんを主人公にした『花供養』という作品だ。白洲さんは女性で初めて能舞台に立つほど、能と深く関わった人だ。その人があるとき、「女性には能は演じられない」と悟ったという。その経緯を能の間(アイ)で語るのが私の役目だった。
台本をもらい、まずその日本語の美しさに驚いた。演じる者に、ある種の厳しさと覚悟を要求するような文章だった。役を作るとき、その役が持つ本質にどれだけ迫ることができるかが役者には求められる。だから材料を集め、イメージを豊かにし、時には探偵のように推理しながら役に近づいていく。今回の仕事はまさにそのようなものだった。
つい先日、多田さんは長い闘病生活の末、この世を去った。脳梗塞に倒れ、右半身と言葉の自由を失いながら、「死ぬまでにやるべきことがある」と言って左手でキーボードを打ち続けた姿が忘れられない。
人は死んでもいいものを残す。多田さんや白洲さんがそうであったように、私もそんなものを残せるようにしたい。この能舞台が縁となり、夏目漱石の短編『夢十夜』の朗読をすることになった。これからの私にとって、これは大切な仕事になると思う。いつか僻村塾で披露したい。
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