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なぜ山に登るのか〜登山家竹内洋岳〜・塩野米松
なぜ山に登るのか〜登山家竹内洋岳〜・塩野米松
平成22年6月26日/午後3:30〜・白峰 遊月山荘
なぜ山に登るのか〜登山家竹内洋岳〜・塩野米松
塩野米松/作家。昭和22年、秋田県角館生まれ。作家として活躍する一方、失われゆく伝統文化・技術についての聞き書きを精力的に行う。


職人の話を聞いて本にしてきた。どんな職人にも共通するのは、その職業にあった「体を作り上げる」ことがいかに大事か、ということだ。大工らしい体、漁師らしい体。長い時間をかけて、知識や知恵、技を体に覚えさせることで、職人はそれを手に入れた。そうすることで、自分の肉体を「考える道具」の一つにまで高めることができた。それが日本の職人だった。しかし、いま日本人の多くは、体が果たす大事な役目を忘れてしまったように見える。そんなとき、登山家の竹内洋岳を知った。世界に14座ある8000m峰すべてに登頂することを目指している若者だ。すでに12座を征した彼は、世界的に注目されている。彼の登山スタイルは特殊だ。酸素ボンベを使わず、荷物を運ぶシェルパも頼まず、自分の肉体だけを頼りに、ごくわずかな人数で山頂をめざす。そのために、高地に順応できる体を作り、登山を完璧にシュミレーションする想像力を養い、秘められた潜在能力を引き出す訓練を自分に厳しく課している。だが、彼は決して特別な人ではない。むしろ、かつての職人たちに通じるものを持っている。私たちの体には本来、大きな可能性がある。ぜひそれを知ってほしい。
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