公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成24年度[第21期]
平成24年6月3日/白峰 望岳苑

きもの遺産

真野響子
真野響子/女優。1952年生まれ。劇団民藝に入団。その後、ドラマ、映画、雑誌等様々な分野で活躍中。神戸市立森林植物園名誉園長。金沢大学非常勤講師。
 雑誌に「きもの遺産」という連載を持っている。月に一度、全国の織元や作家を訪ね、仕事を見、話を聞き、きものを着て、文章を書く。そのことを通じて思ったことを今日は話したい。まず伝えたいのは、きもの文化がこのままでは過去のものになってしまう、という切実な問題だ。20数年前、高橋治先生が宮古上布をすすめてくれた。宮古上布の前途を危ぶんで、幻の織物になる前に買いなさい、ということだった。そんな状況が、もはやどの産地にもあてはまるようになった。しかし取材の中で、美しいきものを残そうと努力している人たちにたくさん出会った。新しいきもの表現に挑戦している人たちもたくさん知った。例えば、伝統的な手法を守り続ける小千谷縮や京友禅の人たちの細やかな仕事ぶりには驚かされたし、藍染や縞織物をまるで現代アートのような感性で表現する作家たちには深く共感した。だから、私は言いたい。まだ間に合う、と。きものを過去の遺物にしないために私たちにもできることがある。それは、きものを着ることだ。そうやって、日本の民族衣装を次の世代に伝えていくことが我々の世代の役目だろう。これからもきものを応援したい。