公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

平成24年度[第21期]
平成24年6月23日/白峰 望岳苑

世界、特にアジアに
おける日本の立ち位置

〜ベトナムとの関係を例にして〜
服部則夫
服部則夫/元駐ベトナム全権大使。前駐OECD日本政府代表部大使。1945年生まれ。大使、外務報道官などを歴任し、外務省退官後はベトナム、インドネシアなどアジアとの経済・文化交流の面で活躍する。福井県出身。
 ベトナム大使を5年半務めた。任期としては異例の長さだった。そのぶんベトナムに愛着があり、第二の祖国のように思っている。
 ベトナムの近現代は戦乱の中にあった。19世紀半ばにフランスの植民地になり、1941年に日本が占領。日本の敗戦にともない、再びフランス領になる。同54年独立。しかし今度はアメリカが介入、やがてベトナム戦争へ。同75年戦争終結。ようやく国際社会の一員として、自らの力で歩み始めた。
 ベトナムを指し〈小中国〉という人がいる。だが、それは間違いだ。同じ社会主義国家であっても中身はかなり違う。中国の強権に対し、ベトナムはポピュリズム的というか、国民の目を常に意識している政治体制だ。
 かつて司馬遼太郎は、ベトナムを植物的な民族と表現した。これは日本人にもあてはまる。私の皮膚感覚で言えば、ベトナム人と日本人はすごく似ている。
 日本とベトナムの関係は8世紀までさかのぼる。東大寺開眼式には僧の来日記録があるし、阿倍仲麻呂はハノイにいたことになっている。また日露戦争のときバルチック艦隊への兵站の補給をサボタージュし、結果的に日本を助けたのがベトナムだった。
 日本にとってベトナムは古くから大切な国の一つだ。一人でも多くの人がベトナムに足を運び、自分の目で見て、ベトナムを理解してほしい。