公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2000年度[第9期]
2000年11月11日/白峰 遊月山荘

読書について2

湯川豊
湯川豊/1938年、新潟県に生まれる。(財)白山麓僻村塾評議員長。東海大学文学部教授。64年文藝春秋に入社し、「文学界」編集長、常務取締役を経て2003年退社。その間、敏腕編集者として数々の作家を育て上げた。優れたエッセイストとしても知られ、著書に『イワナの夏』がある。現在、毎日新聞書評を担当中。
 本の読み方に指針を与えてくれるものがある。書評である。辻原登氏の書評集「熱い読書冷たい読書」を読み、作家の多岐に渡る読書量と読み方に圧倒され、教えられることが誠に多かった。 書評とはいわゆる批評である。それは一つの立場から他を批判したりすることでは勿論なく、本の「内容」と「特徴」だけでなく、「作者の意図と本の意味をまるごと捕まえる」ことである。そして本当に優れたものは「その対象を現代社会とか歴史の中できちんと位置づける」ものだ。 ただ、そんなに難しく考える必要はない。何より書評集はおもしろそうな本に溢れているのだ。