公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2005年度[第14期]
2005年7月2日/白峰 望岳苑

職人の女房

塩野米松
塩野米松/作家。昭和22年、秋田県角館生まれ。作家として活躍する一方、失われゆく伝統文化・技術についての聞き書きを精力的に行う。西岡常一棟梁の聞き書き『木のいのち木のこころ』は大きな反響を呼んだ。主な著書に『父さんの小さかったとき』『手業に学べ』他多数。
 職人の女房たちを取材している。きっかけは「職人は、女房がいないと仕事にならないんだよ」とある名人が話したからだ。それを聞き、職人の女房たちが、どのように生きてきたか探りたいと思った。
  女房の役割は、仕事によって様々だ。漁師の女房は、男たちが採ってきた魚を売る。シナ織り職人の女房は、男が採ってきた材料を加工して織る。アケビ蔓細工やシノダケ細工職人の女房は、男と同じ仕事をする。つまり、仕事が「男の仕事」「女の仕事」という風に分かれていればそれをやり、分かれていなければ、「同じ仕事」をすることで、職人を支えていくのが女房だ。 女房の仕事は口で言うほど簡単ではない。ある職人は「結果的に、女房は家に修行に来たようなもんだ」と話した。仕事を覚えるために、厳しい修練を積む女房も少なくなかった。物を作ることが、そのまま職人の生き方につながるように、職人の女房もまた、職人を支えることで特有の生き方をするようになる。これは他の国では見られないようなことだ。
  近年、職人の世界でも「男の役目、女の役目」という境が崩れつつある。これからは男が女房役をするようなこともあるかもしれない。だが、これも新しい社会のあり方の一つなのだろう。
  フィールドノートは、ポケットサイズで表紙が硬いレベルノートがおすすめだ。手軽で雨にも強いし、書きやすい。僕は、かばんの中に、双眼鏡や虫めがね、メジャーなどをいれて持ち歩いている。フィールドノートをつければ、自然がもっと近くなってくる。ぜひ自然と友達になってほしい。