公益財団法人 白山麓僻村塾

活動の記録

2007年度[第16期]
2007年5月27日/白峰 望岳苑

アートの旅9

真野響子
真野響子/女優。1952年生まれ。ドラマ、映画、雑誌等様々な分野で活躍中。2002ワールドカップ日本組織委員会理事。金沢大学非常勤講師。
 能登半島地震の被災地である門前を慰問した。神戸、新潟、石川、自分にとって身近な地域が困難に直面したなら見過ごすことはできない。 (慰問では)総持寺の本堂で話をすることになった。そのとき不思議な感覚を抱いた。父が寺の次男坊だったこと、僻村塾恒例の古寺でのコンサート、相国寺との関わり、そして「すべての命には仏が宿っている」とした画家若冲。それらが私の中でつながって、「仏縁」という言葉が思い浮かんだ。
  もう一人、そんな縁を感じさせるのが、太鼓奏者の林英哲氏だ。彼は若冲に捧げる演奏を行っている。私は彼の演奏を聴いてはじめて、若冲とは音を感じさせる画家だと気がつかされた。その彼もまた寺の息子だった。
  最近、はたと気がつくと、自分の回りが「アジア」で囲まれている。ヨーロッパに目が向くような教育を受けながら、関心はやはりアジアにある。しかし、自分はどれだけアジアのことを知っているだろうか。
  アジアを学ぶために拠点としているのがバンコクだ。だが、そこで見る格差はすさまじい。特に農村の貧困は深刻だ。それを是正するのは金ではなく、智恵だと思う。そのために各国が民間レベルから協力する。そんな姿勢が必要ではないか。人間同士の信頼関係が、やがて国同士の信頼関係に結びつくと思っているからだ。